· 

三面大黒天(摩怛羅天曼荼羅図)

三面大黒天は天台宗系の大黒天、毘沙門天、弁財天が三体合体されている御尊像が知られています。画像

 

この図は胎蔵界曼荼羅にある大黒天(摩訶迦羅天 マカカーラ)と同じで、三面とも憤怒相です。

 

 

この掛軸にある大黒天図周囲八体の御尊像は、今まで見たことがありません。香川県三豊市の天台宗長林寺の摩怛羅天曼荼羅図とほぼ同じような図柄です。

 

長林寺    

 

 

民俗学伝承ひろいあげ辞典資料の中に、「三面暴悪の大黒天を中心に周囲に八天女を配した曼荼羅、この八天女を七母女天(摩怛利神)・梵天女とし、摩多羅神を摩怛利神として供養する摩怛利神法が修法された。」とあります。

 

 

川村湊氏の「牛頭天王と消された異神たち 蘇民将来伝説」によると安楽騒動で天台宗が否定した摩多羅神(またらじん)を再度正当化するために、仏教の正当な神である七母女天(摩多利神)と同じとされたようです。

 

 

この図は安楽騒動以降の天台宗寺院に伝えられた掛け軸と思います。

 

 

七母女天の内、下中央は四面で上部を除き三眼です。あるいは梵天女なのかもしれません。

 

 

摩多利神 link